ドライアイ(乾性角結膜炎・角膜乾燥症)とは
ドライアイ(乾性角結膜炎・角膜乾燥症ともいう)は、涙の量が足りなくなったり、涙の成分が変化することによって、目の表面に障害(傷)が生じる目の病気です。
涙の働き
目はまぶたと涙によって守られています。
まぶたによるまばたきが、涙の分泌刺激となり涙を出させたり、目の表面に涙を均一に分布させます。
涙には、
1.目の表面をバイ菌・異物から守る
2.角膜に酸素・栄養を運ぶ
3.ゴミ・ホコリを洗い流す
という役割があります。そして
4.の表面を滑らかな状態にして「ものをきれいに見る」動きを支えています。
涙は油層、水層、ムチン層の3 つの層からなり、まばたきによって眼の表面にベールのような網目状の膜をつくっていますが、涙の働きが低下すると、まばたきしてもこの膜を修復できず、保護してくれるはずのベールは穴だらけのままになり、眼に傷ができる原因にもなります。

原因
ドライアイは、さまざまな要因により、涙の量が足りなくなったり、涙の成分が変化して起こります。
生活環境的
要因 |
睡眠不足、ストレス、乾燥した部屋(エアコン)、コンタクトレンズの装用など |
まばたきの
減る作業 |
パソコン、TVゲーム、細かい作業、読書、運転など |
病気の影響 |
上輪部角結膜炎 |
ドライアイ疾患の一つで、涙が目の表面全体に行き届かず、黒目の上部に傷が慢性的にできる症状。 |
眼瞼痙攣 |
まばたきは涙を目の表面に均一に分布させるが、まばたきの機能に異常が起こるとドライアイを併発することがある。 |
眼類天疱瘡 |
水疱が瞼球に癒着しドライアイを併発することがある。 |
シェーグレン 症候群 |
涙腺と唾液腺の臓器特異的自己免疫疾患。
涙腺の外分泌腺の障害により、涙がでなくなる。 |
スティーブンス・ ジョンソン症候群 |
抗生物質や解熱剤の副作用で発症し、全身にやけどのような症状が現れ、眼の結膜等の粘膜に発赤、紅斑、びらん、水疱がみられる。 |
薬の影響 |
血圧を下げる薬 |
その他 |
屈折矯正手術後(LASIK)、目が大きい(涙の蒸発が多くなるため)、加齢(加齢に伴い涙の分泌が低下するため) |
ドライアイの症状
ドライアイではさまざまな不快な症状が現れます。
主に、目が痛くなる、目が開けづらくなる、目が重たくなる、見えづらくなる、コンタクトレンズがつけられなくなる、目の感染症になる、などがあります。特にコンタクトレンズをしていると、目の痛みに気付かない場合があります。痛みがなくても、定期的に医師の診察を受けることをおすすめします。また、ドライアイが進行すると、涙の量・バランスが崩れて目の表面の細胞がはがれ、傷ができることもあります。
ドライアイチェック
□眼を酷使する。(パソコン・読書・車の運転等) |
□涙が出る。 |
□毎日、冷暖房のきいた部屋にいる。 |
□眼がかすむ。 |
□眼に不快感がある。 |
□光を見るとまぶしい。 |
□眼が重たい感じがする。 |
□眼が疲れやすい。 |
□眼がかゆい、メヤニが出る。 |
□眼が充血する。 |
一言でドライアイと言ってもその症状はさまざまです。
上のチェック項目の内、5個以上当てはまる場合はドライアイの可能性が高いでしょう。
ドライアイは環境的な要因が大きいです。長期間に渡る医師の管理が必要です。
気になる症状がございましたら、一度受診をおすすめします。
ドライアイの検査方法
涙の量的質的検査
ZQ(ゾーンクイック)検査 |
専用の糸を下まぶたの端に15秒間挿入し、涙でぬれた糸の長さで涙の量を測ります。 |
BUT検査 |
目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間(Break Up Time)を測ります。 |
シルマー試験I法 |
専用の濾紙を下まぶたの端に15秒間挿入し、涙でぬれた部分の長さで涙の量を測ります。 |
目の表面の障害を見る検査
顕微鏡検査 |
フルオレセインという黄緑色の試薬を点眼すると角膜(黒目)の障害された部位が染まるので、顕微鏡で染色部を観察して障害の程度をみます。 |
ドライアイの治療方法
1.点眼液による治療
涙液分泌自体を促進させる薬物はなく、人工涙液点眼液で不足した涙液の補充を行う方法です。涙液分泌が少ない為に点眼液に含まれる防腐剤などの添加物による副作用が起こりやすいので、点眼液は添加剤を含まないものを使用しましょう。
※当院では処方箋を発行し、院外処方をしておりますので販売は一切しておりません。
この病気に対して処方している薬を表示しています。
ドライアイの治療に使われる主な点眼薬の説明 |
製品名 |
成分 |
画像 |
効用 |
ソフトサンティア |
人工涙液 |
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涙液不足に伴う目のかわき・異物感などの不快な症状を改善します。コンタクトレンズに対して何ら影響を及ぼさないことが確かめられていますので、すべてのタイプのコンタクトレンズを装着したまま点眼することができ、コンタクトレンズ装用時の不快感、目の疲れ、目のかすみ、目のかわきなどの諸症状を改善します。
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ヒアレイン点眼液0.1% |
ヒアルロン酸ナトリウム |
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角膜上皮細胞の接着、伸展を促進し、角膜上皮の創傷の治癒を促進します。また、涙を保持し安定させて目の乾燥を防ぎます。
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ヒアレインミニ点眼液0.1% |
ヒアルロン酸ナトリウム |
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角膜上皮細胞の接着、伸展を促進し、角膜上皮の創傷の治癒を促進します。また、涙を保持し安定させて目の乾燥を防ぎます。 |
ティアバランス0.1%点眼液 |
ヒアルロン酸ナトリウム |
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涙液保持作用により点眼後の涙液の貯留量を増加させ、さらに角膜上皮の障害の治癒を促進させます。通常、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ドライアイなどの内因性疾患、術後・薬剤性・外傷・コンタクトレンズ装用などによる外因性疾患に伴う角結膜上皮障害の治療に用いられます。 |
ジクアス点眼液 |
ジクアホソルナトリウム |
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涙の成分であるムチンや水分の分泌を促進し、涙の状態を改善することで角結膜上皮の障害を改善します。 |
ムコスタ点眼液 |
レバミピド |
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ドライアイの治療に用いられます。この点眼液は白色の水性懸濁液のため、点眼の直前に丸 くふくらんだ部分を強くはじいて薬剤を分散させてください。点眼した際に、一時的に目の前が白くなることまたは目がかすむことがありますので、機械類の操 作や自動車などの運転を行う場合には注意してください。この目薬の有効成分はソフトコンタクトレンズに吸着することがあります。目に違和感があるときは医 師に相談してください。 |
2.アイホットによる治療
点眼だけでは症状が改善されない場合には、眼を温めると症状が改善し楽になります。
新宿東口眼科医院ではドライアイの治療に「アイホット」という器械を使用できます。

アイホットは皮膚への浸透力のある赤色光を使用したあんぽう器です。マイボーム腺を温めることにより、脂分の分泌が促進されます。分泌した油分は目の疲れを癒す最適な油層を目の表面に形成します。
アイホットをご希望の方はお気軽にご相談ください。
3.涙点閉鎖による治療
涙は目の表面から蒸発する以外はほとんどが涙点から鼻に出る為、涙点を閉じて涙の流出を抑え、涙を眼の表面に十分に溜める方法です。新宿東口眼科医院では3種類の涙点プラグを利用した治療をしております。
(1)スーパーフレックスプラグ(ホワイトメディカル)承認番号21200ZY00283000

スーパーフレックスプラグはサイズが豊富なので、涙点が小さい方でも大きい方でも合わせられフィット性、保持性に優れています。
(2)コラーゲン製涙点プラグ承認番号21900BZZ00027000

コラーゲン製涙点プラグは生体適合性の高いアテロコラーゲンを使用しており、体温によりゲル化する特性を利用して、充填時には液状のため簡単に充填でき、涙小管内ではやわらかいゲルとなり刺激が少なく、かつしっかりと涙点を閉鎖できます。
(3)パンクタルプラグ承認番号22100BZX01093000

パンクタルプラグは涙点へプラグを挿入しやすく、さらに挿入の際にかかる患者さまの負担を軽減するため、プラグ挿入前は、先端形状をより細長く変形させ先端の膨らみを小さくしております。
※プラグ挿入にかかる費用(3割額の負担、薬の処方等、他医師による処置がなかった場合)
医師の処置、検査の有無により診療費に前後があります。ご了承下さい。
初診 |
片目(1本) |
両目(2本) |
両目(3本) |
両目(4本) |
スーパーフレックスプラグ |
約5,190円 |
約8,440円 |
約9,790円 |
約11,140円 |
コラーゲンプラグ |
約8,440円 |
|
約11,140円 |
|
パンクタルプラグF |
約5,190円 |
約8,440円 |
約9,790円 |
約11,140円 |
再診 |
片目(1本) |
両目(2本) |
両目(3本) |
両目(4本) |
スーパーフレックスプラグ |
約3,600円 |
約6,840円 |
約8,190円 |
約9,550円 |
コラーゲンプラグ |
約6,840円 |
|
約8,190円 |
|
パンクタルプラグF |
約3,600円 |
約6,840円 |
約8,190円 |
約9,550円 |
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
新宿東口眼科医院ではドライアイ外来担当医による診察を設けております。